『ふなサポはなくならない』船橋市31歳女性利用者さんの声
イ:まずは自己紹介と現在の状況からお願いします。
声:船橋市で一人暮らしをしています。3年くらい前からふなサポを利用していて、その支援がきっかけで正社員としてIT企業(A社)のシステム開発の仕事に就きました。今はその仕事を2年間続けた経験を活かし、ITの教育職を目指してふなサポでの相談を再開※1して相談員さんと自分のキャリアを整理しています。
イ:それでは、まずはふなサポを利用するまでの経歴を教えて下さい。
声:大学卒業後、新卒として営業職に就きました。業界研究不足で、社会や会社の事もわからないうちに就職してしまい、担当した個人宅への訪問営業はとても大変で、内勤の営業事務等に異動もさせていただきましたが、どうしても訳あってその会社は1年で辞めました。その後、1年間は仕事をしないでゆっくり過ごしました。そのうち派遣登録をして様々な仕事をやってみましたが、当時は慣れなくて仕事をよく変えていました。その中で、派遣先のひとつだった物流倉庫から正社員にならないかと声をかけていただき、そこで働き始めました。その会社には2年弱在籍していたのですが、社員が5名ほどのアットホームな職場で、様々な仕事を経験できました。そこではパートさんと一緒に働いて、最初の仕事はデパート包みだったと思うのですが、色々なことを教えてもらいました。事務仕事も増えるのでパソコンを支給されてから、Excelを活用して資料をたくさん作って、充実していました。
イ:様々な経験をされている、とても貴重なキャリアですね。そこからふなサポを利用するきっかけを教えて下さい。
声:きれいで広い倉庫に移ったんですが、その広い倉庫を走って、扱う商品も増えて以前より数字にも厳しくなって、事務作業にも追われる毎日になりました。27歳でその仕事を辞めて、まだ20代ですし休みたいと思っていい所ですが、そのときは「とにかく仕事を探しに行かないと!」という焦る気持ちですぐ動きました。両親には「(応援したいけど…)親にもできることとできないことがあって、手伝ってあげられない」と言われていて、外部の支援を受けなければと思っていました。辞めた次の日にはハローワークの退職に伴う手続きとジョブカフェちば※2の登録をおこない、そこでふなサポのチラシを見つけて、直ぐに電話で予約を取ってその日の内にふなサポに来所しました。
イ:仕事を辞めた次の日に来所ですか……。それは大変でしたね。
声:偶然、講座などもなくて相談員さんの時間が空いていたので、当日の電話にもかかわらず、スムーズに初回相談ができました。当初はハローワークやジョブカフェちば、パソコンスクールと併用しながら、ふなサポでは主に担当の相談員さん(キャリアコンサルタント)との定期的な相談がメインでした。今までのお仕事の振り返りを中心に相談していたのですが、そこで心身ともに疲れていたんだな、という事に気付かされました。また、相談員さんは仕事のやりがいの話や、ちょくちょくITの話をよくしてくれていました。そんな相談を何回かしていく中で、ふなサポで始まったばかりのプログラミング講座※3に誘われて参加してみたのです。実は私は、IT業界やプログラミングについてはこの相談員さんに会って初めて知りました。プログラミングもふなサポで初めて体験しました。しだいに、ふなサポのイベントに参加することも増えて、ふなサポに絞って利用するようになりました。
イ:ふなサポでプログラミング初体験の方は多いですが、声さんもそうだとは意外でした。人より呑み込みが早いので大学でも情報系の専攻だとばかり思っていました。
声:大学は自然科学系の環境問題を考える学部なので、当時はプログラミングの講座もなくて無関係でした。ただ、環境問題にネットワークの必要性を一緒に考えていて興味があったので、どこか繋がっていたかもしれませんね。ネットワークで思い出したのですが、ふなサポイベントの一環でテレワークインターンやA社に業界企業説明を受ける機会をいただき、その中でA社代表の方から「1年間しっかりIT系の勉強をした方がいいよ」という助言をいただきました。その時点では1年後にその企業に入社するとは思っていなかったのですが、なんだか引っかかっていたんだと思います。担当相談員さんとも相談しながら、ふなサポのプログラミング講座に初めて参加して、ここで初めてプログラミングを学んでみたい気持ちが湧きました。とても楽しかったんです。それから、パソコンスクールに行って資格取得に向けたオフィスソフト(Excel VBA)の講座を始め、興味を持ったのでWebサイトの制作技術が学べる都内の職業訓練校に3か月間通いました。訓練校は担当の相談員さんが見つけて薦めてくれました。そしてようやくプログラミングの魅力を認識しました。あれもこれも興味がでてしまって、ここで私の良くなかったところなんですが、当時は元気も回復していましたからね。色々なスキルが増えたのですが、就職活動という課題があって、IT業界も広いので就職先を決めるのに時間がかかりました。相談とふなサポの講座を受けたりして過ごしていました。でも、ふなサポを利用し始めてもう少しで1年というところで、3月になって就職活動シーズンが来ました。ふなサポ主催の合同就職フェア※4で、先ほどから名前が挙がっているA社も出展することになりました。運命的なものも感じますが、その時点でもまだA社を受けようか迷っている状態でした。ただ、ずっとお世話になっていた担当相談員さんがちょうど3月一杯でふなサポを退職することが決まっていて、最後に就職決定した姿を見せたいというのが後押しになりました。その相談員さんと面接トレーニングや面接後のお礼メールの書き方など、しっかり対策していたこともあり、無事採用されることになりました。1年間継続してパソコンやWebの勉強をしたことも評価していただけたようです。
イ:おめでとうございます!最後に就職決定した姿をお見せできたのですね。ちなみに、お仕事をする上で役に立ったり印象に残ったふなサポの支援内容や関わりを教えて下さい。
声:ふなサポのセミナーはグループワークが多く、同世代の人たち同士でなにかをやるというのがとても楽しかったです。みんながお仕事を探していたり今後のステップアップを考えている人たちなので、お互いに情報収集したり、影響を受けあったりできるのです。「やってみたい事はまずは周囲に宣言すること」という言葉は、私が尊敬する先輩利用者さんから教わって今も実践しています。また、その頃のふなサポの主催イベントはスタッフと一緒に利用者も準備作業を手伝ったりして、本当に楽しかったです。
イ:今はコロナの影響で大人数が集まるイベントを開催しにくいのですが、準備作業を通じてチームワークやコミュニケーションも学べる大切な機会です。コロナが落ち着いたらまた利用者さん達とイベント実施したいですね。では、紆余曲折の後にIT教育職を目指す理由と近況を教えてください。
声:システム開発会社A社様では、研修の機会もいただき、福利厚生も整っていました。技術職は、一生もののスキルをもって、女性でもかっこよく仕事をする姿が素敵だと思います。ITは仕事を通じて学んでいけて、学んだ分資格取得にも近づくので自分のキャリアが築けているなという実感が持てました。そんな折に、私はMOSのマスター資格※5も取得しました。システム開発の現場では少しピントがずれていた資格ですが、この資格取得は長年の夢だったのです。そして、WordやExcelのようなパソコンスキルの提供で多くの方をサポートしたい気持ちを捨てきれていなくて、今は資格勉強もしながらふなサポの新しい担当相談員さんと自分を見つめ直している最中です。IT業界での経験は大切な経験なので、今はITの土台の上で貢献したいと思っています。
イ:ちなみに今はどんなIT関係の勉強をされているのですか?
声:最近は、統計や情報セキュリティに目を向けておりました。8月に一般団体の情報セキュリティ検定に合格して、10月にITパスポートに合格しました。自分にとって初めての国家資格取得で、始めてみたら難しい事も勉強しますし量も多くて大変でした。ある日、パラパラ単語帳を作って勉強していたという話を思い出して、勉強法が見えてきたんです。それでもう少し継続して勉強して、もっと上の試験を受けてみたいと思えるようになりました。ITは勉強の業界と言われますが、自らの勉強の継続で道を開けるすばらしさを実感しました。以前から『教育』の仕事に携わりたい想いがあったのですが、資格も取得できた事で、人に教えられる自信がついてきて、しっかりとIT業界の経験も伝えることができそうだと思えるようになりました。
イ:それでは、今後の希望や将来の夢などはありますか?
声:最近は自分の今後のキャリアを具体的な求人に落とし込んでいる最中です。PCインストラクター求人に応募してサポートしたい想いを実現したいと思っていて、面接ブースで担当相談員さんに手伝ってもらいながら履歴書と職務経歴書を作っています。その傍ら、ずっと地域貢献をしたいという想いもあります。地域の公的機関であるふなサポには多くの未来の利用者さん達が来所されると思いますが、自分のいきいき働いている姿を見てもらいたいです。その事が地域貢献になるのかなと。もし、どこかのパソコンスクールに勤務した時には、ぜひ職場見学に来てください。
イ:今ではプログラミング講座講師スタッフが声さんに技術的な相談をしている場面もあるので、声さんがインストラクターをやっている姿はとてもイメージできます。職場見学、是非ともお願いしたいです!
イ:最後に、まだふなサポへの『さいしょの一歩』を踏み出せていない方に対してメッセージをお願いします。
声:ふなサポはなくならないので、あなたが来れると思ったタイミングで来ていただければいいんじゃないかな、と思います。人に会うって大変だと思います。でも、ゆっくりでいいと思います。実はこんなことを言えるのは、これはふなサポのスタッフさんから教えていただいた言葉があるからなんです。私自身は、なじみの担当者さんが退職して以来、仕事で来所する時間も少なくなっていって、でもあるときこの場所を失うのが怖くなっていたんです。そんな折に1人のスタッフさんと話していて「今後も、もしかしたら色々と変わっていくこともあるかもしれませんが、ふなサポはなくなりませんよ」と仰ってくださったんです。仕事を始めた後も悩むことがあるかもしれませんが、そんな時にまた相談したり帰る場所として、ふなサポはずっとあるんだと思うととても勇気をもらえました。私も新しい担当相談員さんと次のステップに向けて進めるようになりました。面談で慣れてきたら一緒に講座を受けたりお話ししましょう♪ 本日はお話を聞いてくださりありがとうございました。
(令和2年10月インタビュー実施)
補足:その後、声さんはR2年12月にPCインストラクターの会社に内定しました!
【注釈】
※1:定着・ステップアップ支援。サポステでは就職後も、仕事の悩みやステップアップに関する相談を行う事が可能。
※2:ジョブカフェちば。千葉県が設置する、正社員を中心とした公的就労支援機関。サポステとの併用も可能。
※3:プログラミング講座。ふなサポではプログラミング言語「Visual Basic」を使った初心者向けのセミナーを定期的に開催。
※4:合同就職フェア。船橋市・習志野市・ハローワーク船橋との協力により、ふなサポ利用者の採用に協力的な企業6~8社の採用担当者が説明会会場に集合し、会社の説明を行うイベント。
※5:MOS。Microsoft Office Specialist(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)は、マイクロソフト社のオフィスソフトに関する国際資格。マスターは、Wordエキスパート・Excelエキスパート・PowerPoint・Access・Outlookから4つ以上取得で認定。